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FTIR分光法とは?

FTIRとは「フーリエ変換赤外」のことで、赤外分光法の最も一般的な形式です。すべての赤外分光法は、赤外線(IR)放射がサンプルを通過するときに放射の一部が吸収されるという原理に基づいて動作します。記録されるのは、サンプルを通過した放射光です。構造の異なるさまざまな分子は異なるスペクトルを発するため、スペクトルを使用すれば分子を特定して識別することができます。このような点で、スペクトルは人の指紋やDNAに似ており、ほぼ特有のものだと言えます。

赤外分光法にFTIRがよく選択される理由はいくつかあります。第一に、サンプルを破壊しません。第二に、古い技術より各段に高速です。第三に、非常に高感度かつ高精度です。

FTIRのこれらの利点は、赤外線の「光源」であり、また極めて高速な処理とフーリエ変換を可能にする干渉計によるものです。フーリエ変換は、時間に基づいて波形を分解して波の周波数を返す数学的関数です。干渉計の「出力」は、私たちが使用する分光スペクトルではなく、「インターフェログラム」として知られるグラフです。インターフェログラムはフーリエ変換によって赤外分光スペクトルのグラフに変換され、これを私たちは識別して使用します。

FTIR分光法の用途

FTIR分光法は、有機合成、高分子科学、石油化学技術、医薬品業界および食品分析で使用されています。言い換えると、プロセスのモニタリングから、化合物の同定や混合物中の成分の特定に至る、幅広い用途があります。

FTIRの原理

分子の共有結合は特定の波長の放射を選択的に吸収し、これによって結合の振動エネルギーが変化します。赤外線放射によって誘導される振動の種類(伸縮または変角)は、結合している原子に依存します。異なる結合と官能基は異なる周波数を吸収するため、分子が異なれば透過パターンが異なります。(透過は吸収とは反対の側面です。)スペクトルは、X軸が波数(cm–1)でY軸が透過率のグラフに記録されます。(波数は波長の逆数で、分子結合の振動エネルギーに相当します。)

FTIRスペクトルの解釈

スペクトルの解釈とは、どの官能基と結合がどのピークに相当するかを判断することです。種々の官能基に対応した簡単な参照表が役立ちます。全スペクトルは、メルクの製品ページおよびNISTの両方でご覧いただけます。

グリシンのIRスペクトルグラフ。

グリシンのIRスペクトルグラフの例。

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