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切り替え可能なRAFT剤

Jeremy Bartels, Sebastian Grajales

切り替え可能なRAFT剤とは

可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT:Reversible Addition/Fragmentation chain Transfer)重合は汎用性の高い精密ラジカル重合法です1-3。実際、ラジカル重合によって重合可能な大半のビニルモノマーに対してRAFT重合を用いることができます4。しかし、用いるモノマーによって反応性が異なるため、リビング重合を行うには適切なRAFT剤を選択する必要があります。一般に、ジチオエステル2 やトリチオカーボネート5 などのRAFT剤は、 スチレン (Sty)、 メチルアクリレート (MA)、 メチルメタクリレート (MMA)などの「より活性化された」モノマー(MAM)の重合を制御するのに適している。一方、ジチオカーバメート,7 やキサンテート_COPY8 は、 酢酸ビニル (VAc)、 N-ビニルピロリドン (NVP)、 N-ビニルカルバゾール (NVC)などの「より活性化されていない」モノマー(LAM)の重合を制御するのに使用しなければならない。適切でない組み合わせ(たとえば、ジチオカルバメートRAFT剤とMMAモノマー)を選んだ場合、重合反応が禁止もしくは厳しく制限されます5

これまで、ビニルモノマーの反応性に違いがあるために、MAMとLAMからなる分子量分布の狭いブロック共重合体(poly(MAM)-block-poly(LAM))の作製には難点がありました。その解決のため、切り替え可能な(switchable / universal)RAFT剤がCSIROから報告されています1。この特殊なRAFT剤はジチオカルバメート化合物であり、ピリジル基の窒素をプロトン化することでMAMの重合を制御し、その脱プロトン化によってLAMの重合を容易に制御することが可能です(スキーム1)。

切り替え可能なRAFT剤のプロトン化/脱プロトン化。MAMとLAMの重合反応を効果的に制御することができます。

スキーム1切り替え可能なRAFT剤のプロトン化/脱プロトン化。MAMとLAMの重合反応を効果的に制御することができます。

反応の際の注意点

この新規反応は溶液中の直接重合反応によってin situで進み、反応速度は早く、しかも可逆的です。重合反応を制御する最適な方法は、化学量論量の強有機酸(p-トルエンスルホン酸:402885やトリフルオロメタンスルホン酸:347817など)によって4-ピリジル基のプロトン化を行うことです10。もしくは、Al(OTf)3などのルイス酸を4-ピリジル基に配位させることでも可能です10。脱プロトン化は、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP、107700)などの有機塩基を用いてin situで行うか1、粉砕した炭酸ナトリウムを用意し、ポリマー溶液を通過させることでも可能です。

切り替え可能なRAFT剤を用いてよく定義されたブロック共重合体を調製するには、まず、プロトン化RAFT剤によってMAMブロックを重合し、次に脱プロトン化し、LAMブロックの重合を続けて行います1,9,10。その主な理由は、末端のLAM基が優れたラジカル脱離基ではないためにMAM存在下では低いブロック形成効率につながりますが、その一方で、ポリ(MAM)はLAMと比較して高い連鎖移動定数を持つ傾向にあるためです。ある場合(特にポリスチレン高分子連鎖移動剤(macroCTA)を用いて酢酸ビニルブロックの重合反応を開始するとき)、残った極少量のMAMを(析出もしくは真空蒸留によって)完全に取り除くことを強くお勧めします。溶液中の微量のMAMは、それ以降に行う重合反応を阻害してしまいます。さらに、MAMとLAMブロック間の反応性を橋渡しするためにモノマー中間体を加える必要がある場合もあります。たとえば、スチレンと酢酸ビニルの組み合わせの場合、すべてのスチレンモノマーが消費、除去された後に少量のアクリル酸メチル(約5%)をポリスチレンmacroCTAと酢酸ビニルの溶液に加えます。ポリスチレンmacroCTAは、アクリル酸メチルがすべて消費されて純粋な酢酸ビニルブロックを生成していく前までは、アクリル酸メチルと酢酸ビニルの比率が徐々に変化していくよう(gradient)にモノマーを取り入れていきます。

RAFT剤とモノマーの適合表

当社のカタログで入手可能なスイッチャブルRAFT剤と、重合に使用される一般的なモノマーとの相溶性を、 表1 に示す。 チェックとダッシュは、それぞれモノマークラスとスイッチャブルRAFT剤のプロトン化体および非プロトン化体との相溶性と非相溶性を表す。たとえば、プロトン化した2-Cyanopropan-2-yl N-methyl-N-(pyridin-4-yl)carbamodithioate(736236)は、スチレンやメタクリル酸などの重合に適しており、ビニルエステルなどの重合制御には適していないことを示しています。

プロトン化/脱プロトン化した切り替え可能なRAFT剤とモノマーの適合表

表1プロトン化/脱プロトン化した切り替え可能なRAFT剤とモノマーの適合表

関連製品

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参考文献

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2.
Chiefari J, Chong YK(, Ercole F, Krstina J, Jeffery J, Le TPT, Mayadunne RTA, Meijs GF, Moad CL, Moad G, et al. 1998. Living Free-Radical Polymerization by Reversible Addition?Fragmentation Chain Transfer:  The RAFT Process. Macromolecules. 31(16):5559-5562. https://doi.org/10.1021/ma9804951
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Mayadunne RTA, Rizzardo E, Chiefari J, Krstina J, Moad G, Postma A, Thang SH. 2000. Living Polymers by the Use of Trithiocarbonates as Reversible Addition?Fragmentation Chain Transfer (RAFT) Agents:  ABA Triblock Copolymers by Radical Polymerization in Two Steps. Macromolecules. 33(2):243-245. https://doi.org/10.1021/ma991451a
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Mayadunne RTA, Rizzardo E, Chiefari J, Chong YK, Moad G, Thang SH. 1999. Living Radical Polymerization with Reversible Addition?Fragmentation Chain Transfer (RAFT Polymerization) Using Dithiocarbamates as Chain Transfer Agents. Macromolecules. 32(21):6977-6980. https://doi.org/10.1021/ma9906837
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Moad G, Rizzardo E, Thang S. 2010. Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer (RAFT) Polymerization. Material Matters. 52-4.
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