ミリセル 24セルカルチャーインサートプレート
細胞の播種プロトコールならびに密度の最適化を行うことは、ミリセル24セルカルチャーインサートプレートで優れた細胞付着と増殖を確保するために極めて重要です。播種の密度範囲を最初に検討することをお勧めします。次のガイドラインは、ひとつのデバイスで実施するためのもので、オートメーションを使用しての実施も可能です。このプロトコールでは、播種や増殖の途中で細胞を観察することが可能な 0.4µm ポリカーボネート(PCF)メンブレンまたは 1.0µmポリエステル(PET)メンブレンのMillicell 24プレートを使用しました。材料と試薬
- ミリセル24セルカルチャーインサートプレート(PCFまたは PETメンブレン)― カタログ番号PSHT 010 R5、PSRP 010 R5
- 組織培養フラスコ
- ステリフリップ(Steriflip)GPまたはステリカップ(Stericup) GPフィルターユニット― カタログ番号 SCGP 005 25または SCGP U11 RE
- 0.02% EDTA — カタログ番号 20-307
- 1x トリプシン/EDTA — カタログ番号 SM-2002-C または SM-2003-C
- 細胞培地―カタログ番号 SLM-022-B
- 滅菌の1 mLのピペットチップ、ピペッター、マイクロチューブ/マイクロ遠心チューブ、たらい
- 血球計算盤またはその他のセルカウンター
注:次の方法はCaco-2やMDCKなどの付着性上皮細胞株の播種ならびにメンテナンス用に最適化されていますが、他の方法や細胞株を使用したプレートの処理における基本原則も含まれています。
方法
播種密度の最適化
- 37℃、5–6%のCO2、95%の相対湿度に設定した細胞培養インキュベーターのT-75フラスコで細胞を増殖、培養します。細胞の分離や継代の前に、80–90%のコンフルエンスに到達することが可能です。その後のミリセル24プレートにおける単層形成に影響するため、オーバーコンフルエント( >90%)にならないよう気をつけてください。
注:細胞継代の数は最適な単層の形成に影響します。そのため、新しい株が確立するまでCaco-2 細胞が20代以上継代しないようにしてください。同様に、MDCK細胞は40継代以上にならないようにしてください。 - 培地を吸引除去し、5 mL 0.02% EDTAでT-75フラスコ、3~5分間インキュベーションします。0.02% EDTAを吸引除去した後、1.5 mLのトリプシン/EDTA 溶液を加えます。37°Cでおよそ5~15分間、または細胞が剥離して浮遊するまでインキュベーションします。フラスコの定期的に目視することで確認できます。
- 細胞が剥離したら新しい培地を加え、すべての細胞塊が分散するまで混ぜます。血球計算盤などのセルカウンターを使用して細胞数をカウントし、その数を元に細胞株のストックを維持するため細胞を継代します。正確に計数するため、よく細胞を撹拌します。
*このプロトコールにおけるガイドラインは、ミリセル24セルカルチャープレートに特化したものです。シングルウェルインサートやミリセル96セルカルチャープレートを使用する場合は、このガイドラインに変更を加える必要があります。製品の選択に合わせて、液体の添加量を調整するには、推奨使用容量表を参照してください。
注:細胞株の播種密度を最適化するには、プレート間の細胞濃度範囲を6または8倍で使用することをお勧めします。 - 滅菌済み遠心チューブを用いて、細胞懸濁液を目的の播種密度範囲になるように培地で希釈します。播種密度を決定するために望ましい目安は、表面積における倍率と現在の細胞密度を掛けて算出します。
例: 9mmのミリセルインサート(表面積 =0.3cm²)の播種密度が 60,000個/ウェルであれば、ミリセル24セルカルチャーインサートプレート(表面積 =0.7cm²)の播種密度は、60,000に2.3を乗じた値として計算されます。
0.7 cm²/0.3 cm²=2.3
60,000 細胞/ウェル x 2.3=138,000 細胞/ウェル
そのため、適切な範囲は、使用した細胞株によって120,000~160,000細胞/ウェルになります。次の表は、 3日間培養する MDCKの播種と 21日間培養する Caco-2細胞単層について、メルクで最適化した播種密度( 3つの単位で)の一覧です。
注:播種密度の目安が無い状態で開始した場合、最初は「細胞播種密度変換表」に記載の数値周辺での播種密度範囲内にします。
注: 最初に細胞播種するときに均一な細胞懸濁液を作製すると、 24ウェル全体でさらに均一な単層の形成が促進されます。これは複数のプレートを播種するときには特に難しいことです。細胞が播種作業中にチューブの底に沈んでしまいウェル間やプレート間で細胞の分布が不正確になることを防ぐため、頻繁に混ぜることを推奨します。 - ミリセル24プレートの目的のフィルターウェルに、300µLの各播種密度の細胞を添加します(フィーディング密度範囲の図を参照)。プレートの右下にある大きなアクセスホールを通じて、シングルウェルフィーダープレートへ28mLの培地を加えます。あるいは、フィーダープレートからフィルタープレートを取り外します。クリーンベンチの無菌表面にフィルタープレートを置き、フィーダープレートに直接培地を追加します。2つのプレートを丁寧に組み合わせなおし、インキュベーターに入れます。
注:ミリセル24プレートに播種した細胞は、適切な湿度管理を行うインキュベーターに置きます。電子湿度管理の付いた細胞培養インキュベーターをお勧めします。不可能であれば、プレートを入れるインキュベーターの中に水を満たしたバットを置き、インキュベーターを頻繁に開けないようにしてください。
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ミリセル 24カルチャープレート―細胞播種密度変換表
個/cm² |
個/mL(0.4ml) |
個/ウェル | |
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21日間Caco-2播種密度 | 85,700 | 150,000 | 60,000 |
3日間MDCK播種密度 | 714,000 | 1,250,000 | 500,000 |