牛乳中のペルオキシダーゼの測定
特異的基質の変換後の目視測定

熱処理は食用牛乳の品質と衛生状態に極めて重大な影響を及ぼします。熱処理の目的は、腐敗を引き起こす病原微生物や病原体を死滅させることにあります。しかし、牛乳に本来含まれる酵素が不活性化するなど、牛乳成分の別の変化も引き起こします。そのため、望ましい特性が最終製品で得られると同時に望ましくない副作用が生じないように、加熱条件を設定しなければなりません。
各種牛乳を生産するための温度と時間の範囲は、ドイツ連邦ミルク規則で規定されています1。
低温殺菌、超高温処理(UHT)および滅菌が、加熱処理法として一般に認められています。低温殺菌牛乳については、長時間加熱、短時間加熱および高温加熱に基準が細区分されています。
加熱処理牛乳の管理と特性評価には、牛乳に本来含まれる酵素の温度依存性不活性化が特に用いられます2。適正な長時間加熱や短時間加熱のモニタリングにはアルカリホスファターゼの検出が使用されますが、正しい高温加熱の評価は牛乳に本来含まれるペルオキシダーゼ(ラクトペルオキシダーゼ)の測定により可能となります。従って、短期加熱牛乳では、元の牛乳酵素のアルカリホスファターゼの活性が陰性で、牛乳酵素ラクトペルオキシダーゼの活性が陽性でなければなりません。一方、高温加熱牛乳では、両方の酵素が不活性化されている必要があります。3
MQuant®ペルオキシダーゼテストストリップは、牛乳中のペルオキシダーゼの存在をチェックするための簡便かつ正確な方法をもたらします。
以下のアプリケーションノートでは、MQuant®ペルオキシダーゼテストストリップを用いた牛乳中のペルオキシダーゼ活性の測定についてご説明します。
MQuant®ペルオキシダーゼテストによる牛乳中のペルオキシダーゼ測定の試験条件
方法
有機酸化還元指示薬がペルオキシダーゼの触媒効果を受けると、青色の化合物に変換されます。テストストリップの反応帯とカラースケールの領域との目視比較により、ペルオキシダーゼ活性あり(+、++)/なし(-)が分かります。
サンプル物質
牛乳
測定範囲
あり/なしの結果
(+)のカラー領域は>12 U/Lのペルオキシダーゼ活性に相当し、(++)のカラー領域は>100 U/Lのペルオキシダーゼ活性に相当します。原則として、反応帯の青色変色はすべてペルオキシダーゼ活性によるものです。
試薬・アクセサリー
試薬
製品番号117828 MQuant®ペルオキシダーゼテスト、テストストリップによる比色分析
アクセサリー
蓄熱ヒーターまたは水槽(23℃)または周囲温度を測定するための温度計
牛乳中の水素ペルオキシダーゼを特定するための分析法
サンプル調製:
サンプル調製は不要です。
測定:
以下の手順に従って分析します:
上記のテストキットで測定します。
- 1 mLのサンプル(20~25℃)をシリンジでテスト容器に注入します。
- 4 mLの蒸留水(20~25℃)をピペットで添加してから混合します。
- 試薬POD-1を5滴添加してから撹拌します。試薬を添加している間は容器を垂直に保持してください。
- テストストリップの反応帯を試験サンプルに1秒間浸漬します。
- 速やかにストリップの長辺を吸収性ペーパータオルに載せて余分な溶液を除去し、1分後に反応帯の色がラベル上のどのカラー領域と一致するかを判定します。
- 結果を読み取ります(MQuant®ペルオキシダーゼテストの添付文書を参照してください)。
- テストストリップの反応帯とカラースケールの領域との目視比較により、ペルオキシダーゼ活性あり(+、++)/なし(-)が分かります。
カラー領域はあくまでおおよその方向性を示すためのものです。原則として、反応帯の青色変色はすべてペルオキシダーゼ活性によるものです。指定された反応時間が経過しても、反応帯の色が変化し続ける場合があります。測定にはこれを考慮しないでください。
結果
MQuant®ペルオキシダーゼテストと反射法によるDIN method 10483-2の比較:
反射法によるDIN method 10483-2を用いた参照分析を実施することにより、測定値を検証しました。結果を下表に示します。
ESL = 賞味期限延長
結論
反射法によるDIN methodと結果が一致することが比較測定により示されました。
MQuant®ペルオキシダーゼストリップは、牛乳サンプル中のペルオキシダーゼの存在をチェックするための簡便かつ正確な手段です。ストリップを用いれば、牛乳を保存するため、および病原微生物を排除するために欠かせない加熱処理の有効性を管理できます。
参考文献
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