アポトーシスの回避 – Evading Apoptosis
Hallmarks of Cancer : episode 3
全ての細胞はプロアポトーシスシグナルに応答します。どのようにすればがん細胞を選択的に死へ誘導できるのでしょうか?
がん細胞は、複数の機序を経てアポトーシスを回避します。もっとも一般的にがん細胞に現れるのは、がん抑制遺伝子、TP53の変異もしくは欠損です。また、腫瘍はBaxやPumaといったプロアポトーシス(アポトーシス促進)タンパク質の機能を低下させ、抗アポトーシスタンパク質であるBcl2ファミリーの過剰発現を示すことがあります。
ドキソルビシン、ブレオマイシン、イダルビシンを含む多くの細胞傷害性抗生物質はDNA損傷を引き起こし、がん細胞においてアポトーシスを促進します。しかし、これらの薬剤はすべてのDNAを標的とするため、多くの副作用を持っています。副作用を避けるためには、がん組織と正常組織間で発現が異なるプロアポトーシス分子を標的とした薬剤開発がなされるべきです。
最近、腫瘍で発現し、正常組織では発現しない、アポトーシスを制御できるmiRNAが同定されました。この発見は、腫瘍の細胞死を促進する治療用抗mi-RNA薬の開発への道を開くのかもしれません。

アポトーシスシグナル伝達はミトコンドリアの脱分極から始まり、DNAの断片化で終わる。
最近の文献:
実験に便利な豆知識
初期アポトーシス(ミトコンドリア膜電位の変化または細胞表面のホスファチジルセリンへのアネキシンV結合)と後期アポトーシス(DNA断片化)の両方について、あなたのがん細胞モデルを試験しましょう。各ステップの相対的な活性はがん細胞モデルの急所を明らかにします。
この特徴に関連する新薬開発
研究段階の化合物であるPTC-209は、腫瘍細胞集団全体のサブセットである白血病細胞と大腸がん始原細胞において、アポトーシスを誘導することが観察されています。この化合物は自己複製因子BMI-1をブロックすることによって作用します。
この特徴と関係の深いがん:卵巣がん
多くの卵巣がんはp53が欠乏しているため、アポトーシスを回避可能です。最近の研究では、ミトコンドリアタンパク質BakおよびBaxに由来するペプチドとp53を融合させて、p53を卵巣がん細胞中のミトコンドリアに局在化させると、アポトーシス誘導が起こることがわかってきました。
アポトーシスシグナルと検出手法
アポトーシスシグナル経路の図と各ステージにおける検出手法の概要を、わかりやすく1枚のポスターにしました。
※1 初期アポトーシスと同時に、後期アポトーシスと総死細胞数を測定可能です。
※2 ミトコンドリア膜電位の低下や消失と同時に総死細胞数も測定可能です。
※3 カスパーゼの活性化と同時に総死細胞数も測定可能です。
※4 染色用ポジティブコントロールスライドグラス同梱品です。
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