Roche® FAQ & トラブルシューティング(ゲノミクス)
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PwoのようなプルーフリーディングポリメラーゼやHigh Fidelity PCR Systemのような酵素ブレンドを使用する際、コンタミネーションを防止する為に増幅中にdUTPを取り込み、dUTPを含む増幅産物中のdUTPをUNGで分解する事は可能ですか?
Pwo DNA PolymeraseとTgo DNA Polymerase(Expand™ High Fidelity PCR System、Expand™ Long Template PCR System、Expand™ 20kb PLUS Systemに含まれる)は古細菌に起源をもち、BタイプDNAポリメラーゼに分類されます。全てのBタイプDNAポリメラーゼはプルーフリーディング活性(3'→5'エキソヌクレアーゼ活性)を示します。Taq DNA Polymeraseに比べて、古細菌のDNAポリメラーゼはウラシル残基を含むDNA鎖を複製できません。これらの酵素の前進する機能は、テンプレート中にウラシル基を検出するとDNA合成を失速させます。そのため、BタイプのDNAポリメラーゼを使用する際は、dUTPでdTTPを置き換えることがPCRの阻害になります。
ウラシルDNAグリコシラーゼを用いたキャリーオーバーコンタミネーションの防止と高正確性PCRを両立させたい場合は、Expand™ High Fidelity PLUS PCR Systemを使用して下さい。この製品は、ロシュ・アプライド・サイエンスが同定した新しいプルーフリーディングタンパク質とTaq DNA Polymeraseのブレンド酵素です。このタンパク質は、プルーフリーディング活性は示すものの、ポリメラーゼ活性は示しません。そのためdUTPを含むテンプレートによりPCRが阻害される事はありません。
非修飾dUTPと対照的に、BタイプDNAポリメラーゼは、DIG-11-dUTPやBiotin-16-dUTP、Fluorescein-12-dUTPなどの修飾dUTPには相性が良いです。その分子の修飾基のためにdTTPと似通っており、そのためにPCRを阻害しません。そのため、全ての高正確性酵素やシステムはPCRによる非放射性標識反応に使用できます。
ホットスタートPCRシステムの機能原理はなんですか?
ロシュ社は、タンパク質の化学修飾に基づいたホットスタートPCRとして、FastStart™ Taq DNA PolymeraseとFastStart™ High Fidelity PCR Systemを提供しています。ホットスタートを行う為の、最も簡単な機能です。
FastStart™ Taq DNA Polymeraseは、化学修飾したTaq DNA Polymeraseです。熱不安定なブロック基は特異的にアミノ酸基に付加されます。FastStart™ Taq DNA Polymeraseは75℃以下では完全に不活性化しています。そのため、非特異産物を増幅しません。
FastStart™ High Fidelity PCR Systemは、FastStart™ Taq DNA Polymeraseと化学修飾された新しいプルーフリーディング活性タンパク質のブレンドです。このタンパク質はプルーフリーディング活性だけを示し、ポリメラーゼ活性を示しません。両酵素は75℃以下では活性を示しません。95℃2分間のインキュベーションによりブロック基を除去し、ポリメラーゼ活性を示します。FastStart™ Taq DNA Polymeraseとプルーフリーディングタンパク質のユニークな化学修飾により、増幅の最初の2分間の反応だけで、十分な酵素活性が得られます。
ダイレクトコロニーPCRのプロトコールはありますか?
コロニーPCRはクローン化に成功したインサートを簡単に検出するための技術です。プラスミド調製と分析からなる従来のクローン分析に替わる、効率的な技術です。FastStart™ PCR Masterは、ダイレクトコロニーPCRに最適なツールです。FastStart™ PCR Masterはこれだけでハイスループットスクリーニングが行えます。PCRの前にテンプレート調製する必要がなく、バクテリアを直接分析できます。
コロニーを滅菌した爪楊枝でピックアップし、50μlの滅菌水中で95℃で5分間加熱します。13000rpmで1分間遠心分離し、上清をFastStart™ PCR Masterと遺伝子特異的プライマーでコロニーPCRを行います。
FastStart™ PCR Masterは早くて便利なReady to Useの形状で、ホットストートPCRに必要な全ての試薬(プライマーとテンプレートを除く)を含む2×濃度のマスターミックスタイプですFastStart™ Taq DNA Polymeraseと塩化マグネシウム、反応バッファー、ヌクレオチド(dATP、dCTP、dGTP、dTTP各0.4mM)をのプレミックスです。ホットスタートPCRは感度や特異性、収量を向上させます。
GCリッチ(>70%)DNAの増幅を行う際、7-deaza-2-deoxy dGTPはPCR反応を効率化しますか?PAGEゲル電気泳動のバンドパターンを圧縮するだけですか?もしPCR反応を効率化するなら、最適な比率(dGTP:7-deaza-2-deoxy dGTP)は1:1でしょうか?
7-deaza-2-deoxy dGTPは、テンプレートDNAとPCR産物の融解温度を下げる事でGCリッチテンプレートの増幅効率を高めることが出来ます。それはDMSOやベタインに似た効果で、DNA高次構造のGC塩基対の分子内外の安定性を下げ、効率的なPCR増幅を可能にします。この増幅とプロトコールの詳細は下記の資料をご覧ください。
- GL Mutter and KA Boynton (1995).PCR bias in amplification of androgen receptor alleles, a trinucleotide repeat marker used in clonality studies. Nucleic Acids Res, 23: 1411-1418.
- A Jung, S Ruckert, P Frank, T Brabletz and T Kirchner (2002). 7-Deaza-2`-deoxyguanosine allows PCR and sequencing reactions from CpG islands. Molecular Pathology, 55:55-57
http://mp.bmjjournals.com/cgi/content/full/55/1/55
これらの実験結果では、dGTPは7-deaza-2-deoxy dGTPに完全に置換されていますが、お客様の実験に基づいた任意の値によって最適な結果を得てください。
RNAサンプルの保存方法について、推奨するのはどのような方法ですか?最適な保存温度やエタノール濃度は?
特にリアルタイムPCR法に用いる場合は、できるだけRNAの状態での保存は避け、より安定なcDNAに逆転写して保存することをお奨めします。
保存する際は、下記を参考の上、RNA溶液を幾つかのチューブに小分けして保存し、再凍結を避ける事を推奨します。
これによって、凍結融解の繰り返しによるRNAの損傷や、RNaseによる分解の影響を少なくすることができます。
短期間の保存の場合:
RNaseフリーのTEバッファー(10 mM Tris, 1mM EDTA )やRNaseフリーの水( 0.1 mM EDTAを含んだ )に溶解して - 20℃で保存できるとされています。
Note: RNAの保存のためにRNase活性を低減するには、EDTA溶液の使用が良く知られています(但し、古いEDTA溶液を使用した場合、微生物が存在することでRNase汚染を引き起こします)。 また - 80℃では、分解する事なくRNAを保存できるとされています。
長期保存の場合:
RNAをエタノール沈澱した後、- 80℃で保存します。
RNAは- 80℃で(水やバッファーで再溶解し、- 80℃で保存も可能)NH4OAc/エタノール沈澱溶液中が最も安定です。
精製されたRNAの保存方法
- 再溶解したRNAに、2倍量の70%または100%エタノールを加え、ペレット状のままRNAを保存します。
- 酢酸ナトリウム(Sodium Acetate )を添加後、遠心によってRNAを回収します。
RNAの回収と溶解
遠心分離後のRNAは、37℃で簡単に乾燥させたり、バキュームオーブンで乾燥させる事ができます。
Note: RNAペレットを完全に乾燥させないように注意します。完全に乾燥させたRNAペレットは、再溶解が困難になります。
RNAを使用する実験の場合、すべてのサンプルを氷上におきます(RNAを室温に置いておくと、分解され易いためです)。
RNaseフリーのTEバッファー( 10 mM Tris, 1mM EDTA )またはRNaseフリーの水(0.1mM EDTAを含む)をRNAに加え、再溶解し、その後氷上で15分間置きます。やさしくタッピング、または慎重にボルテックスを行います。
精製後のアプリケーションのためのRNAの沈澱
精製されたRNAは、場合によってはその後のアプリケーション用に沈澱と濃縮が必要となります。
酢酸アンモニウム( NH4OAc)沈澱( 0.1量の5 M NH4OAc、2-2.5 倍量の100%エタノール、- 20℃、25分以上)で、RNAを回収できます。
濃度が低いRNA溶液(ng/ml)からのRNAを回収する場合、グリコーゲンやyeast RNA等を加えます。
Note: Protector RNaseインヒビターはRNAの分離や精製、その他の様々なアプリケーションでRNAを分解から守るために使用します。
リアルタイムPCR用プライマーの精製度はどのくらいが良いのでしょうか?
プライマーは、カートリッジ(OPCカラム等)精製程度以上、プローブはHPLC精製程度をおすすめします。
詳しいグレード名等は、オリゴメーカー各社へお問合せください。
未精製等の場合、オリゴ合成の副産物が含まれてしまうことがあります。このような場合、反応に影響を及ぼすことがございますのでご注意ください。
PCR効率(Efficiency:E)の計算方法
PCR効率(Efficiency:E)は、スタンダードカーブ(検量線)の傾き(slope)から下記の式を用いて算出します。
E = 10(-1/slope)
たとえば、Slopeが [-3.32]の場合、上の式に代入して、E=2.00 (100%) となります。
なぜRNAを変性させなければならないのですか?
in vitroトランスクリプションやcDNA合成、ハイブリダイゼーションのような生化学反応の前にRNAテンプレートを変性させる必要性は、RNAが簡単に分子内二本鎖領域(「二次構造」と呼ばれる)を形成することに基づきます。ほとんど全てのRNA分子は、ヘアピンやループを形成する自己相補的な配列を持ちます。RNAは二次構造の状態で安定性が高く、ポリメラーゼのような酵素反応を阻害します。RNA分子をノーザンブロットなどのハイブリダイゼーションのプローブとして使用する場合、変性していないRNA分子は非特異結合を起したり、結合しなかったりします。そのため、変性によりRNA二次構造を完全に解きほぐす事が必要です。
Taq DNA Polymeraseの半減期はどれくらいですか?
Taq DNA Polymeraseの94-95℃での半減期は、約40分です。92.5℃で2時間後、97.5℃で5-6分間後に50%の低下が見られます。変性ステップの高温を95℃20秒に抑え、50サイクルの後に60%の活性がなくなります。この値は、理論上ではサーマルサイクラーで100サイクル以上が可能なことを示します。
FastStart™ Taq DNA Polymeraseはプルーフリーディング活性を持っているかどうか、塩基取り込み率はどれくらいか教えて下さい。
FastStart™ Taq DNA Polymeraseは化学修飾したTaq DNA Polymeraseです。75℃以下では酵素活性を持っていません。また、FastStart™ Taq DNAPolymeraseとTaq DNAPolymeraseは3'→5'エキソヌクレアーゼ活性、プルーフリーディング活性を持ちません。
FastStart™ Taq DNAPolymeraseの塩基取り込み率はTaq DNAPolymeraseと同じく、70℃において60ヌクレオチド/秒です。75℃では160ヌクレオチド/秒以下です。
FastStart™ High Fidelity PCR Systemの最高の感度はどれくらいですか?PCR産物を回収できる最も少ないテンプレート量はどれくらいですか?
FastStart™ High Fidelity PCR Systemでは、少なくとも1ngのヒトゲノムDNAから5kb断片を増幅できます。RT-PCRの場合、Transcriptor Reverse Transcriptaseを一緒に使用して100pgトータルRNAからスタート出来ます。
Expand™ Long Template PCR Systemで、断片鎖長は伸長時間へ影響しますか?
テンプレートの種類によります。
ゲノムDNAの場合
バッファー1:0.5-12 kb
バッファー2:12-15 kb
バッファー3:15 kb-
ラムダDNAの場合
バッファー1:0.5-25 kb
バッファー2:25-30 kb
バッファー3:30 kb-
Expand™ Systemはクローニング実験に適したDNA断片を合成しますか?
はい。Expand™ Systemは、Taq DNA PolymeraseやTth DNA Polymeraseと同様に3'末端にアデニンオーバーハングを持ったDNA断片を合成します。
Expand™ Long Template PCR Systemを使用する際にDNAテンプレートの精製度はどれくらい重要ですか?
特にヒトゲノムDNAの場合、高い精製度が重要です。長いテンプレートの増幅を成功させるには、PCRに干渉するコンタミネーションを除去しなければなりません。ヒトゲノムDNAが十分に精製されていることを確かにするために塩化セシウム密度勾配が必要です。ヒト全血からのゲノムDNAの精製にはHigh Pure PCR Template Preparation Kitをお勧めします。高精製度ヒトゲノムDNAも便利です。
Expand™ Long Template PCR Systemのどのバッファーがどの増幅断片鎖長に適していますか?
テンプレートの種類によります。
ゲノムDNAの場合
バッファー1:0.5-12 kb
バッファー2:12-15 kb
バッファー3:15 kb-
ラムダDNAの場合
バッファー1:0.5-25 kb
バッファー2:25-30 kb
バッファー3:30 kb-
Expand™ Long Template PCR Systemで増幅した場合、TAクローニングによる断片のインサートは可能ですか?
Expand™ Long Template PCR Systemは、耐熱性Taq DNA Polymeraseとプルーフリーディング活性をもつ耐熱性DNAポリメラーゼであるTgo DNA Polymeraseの酵素ミックスです。
Taq DNA Polymeraseは、PCR産物の3'末端にdAを付加させるターミナルトランスフェラーゼ活性を持ちます。Tgo DNA Polymeraseのようなプルーフリーディング活性を持つDNAポリメラーゼは、3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を持ち、ミスプライミングしたヌクレオチドを除去して平滑末端PCR産物を合成します。Expand™ 酵素ブレンドの酵素の大部分はTaq DNA Polymeraseなので、PCR産物の3'末端のほとんどはdAが付加されており、TAクローニングに適しています。
PCR産物のTAクローニングTベクターと呼ばれるベクターは、3'末端に突出末端を作る一種類の制限酵素(例えばXcm I)で作ります。
しかしながら、Xcm Iは珍しい認識配列を持ちますので、認識配列をもつ合成オリゴヌクレオチドをマルチプルクローニングサイトに入れる必要があります。
その為、ロシュ社はPCR産物の平滑末端クローニングを推奨し、2種類の高効率な平滑末端クローニングキットを推奨しています。
PCR Cloning Kit(blunt-end):10kbまでのPCR産物に適しています。
Expand™ Cloning Kit:Expand™ Long Template PCR SystemやExpand™ 20kb PLUS Systemで合成された7~36kbのPCR産物に適しています。
平滑末端クローニングのためにTaq DNA PolymeraseやExpand™ 酵素で合成したPCR産物は、まずPwo DNA Polymeraseなどでポリッシングし、3'末端のシングルヌクレオチドを除去します。
Expand™ High Fidelity PCR Systemを使って最高何サイクルまでPCRできるかを知りたいです。今まで、最初のPCRともう一度の増幅で50回を2回行いました。100サイクルのPCRをしたいです。
Expand™ High Fidelity PCR Systemの半減期は95℃で約50分間です。
PCRの効率はいくつかの因子に依存していることに注意して下さい。PCRサイクルを増やすことが、PCR断片を増やすとは限りません。一般的に特定のサイクル数の後に、目的の配列の最初のコピー数に依存して、反応はプラトー状態になります。プラトー状態では指数関数的な成長曲線は辿りません。
PCRプラトーの原因
- PCR産物による阻害(PCR産物はアニーリング時にプライマーと競合的にテンプレートと競合します。)
- PCR副産物による阻害の蓄積(ピロリン酸などの物質)
- PCR産物の高濃度状態での不完全な変性
- 酵素とdNTPsなどその他の要素の不足
サイクル数を多くする事は、非特異な増幅のリスクを増加させます。その点においては、弊社のFastStart™ PCRファミリーなどのホットスタートPCRを使用して下さい。
そのため、40-45サイクルを限界とする事が望ましく、2回目、3回目のPCRを行って下さい。
遺伝子断片の増幅にExpand™ High Fidelity PCR Systemを使用しています。この断片をエンドヌクレアーゼで分解する予定です。塩濃度は分解反応の重要な因子の一つです。製品情報で確認できた事は、酵素保存バッファーの組成100 mM KClだけです。Expand™ High Fidelity buffer with 15 mM MgCl2を使用した場合、最終KCl濃度はなんですか?
Expand™ High Fidelity PCR Systemの反応バッファーにはKClは含まれません。しかし、バッファー(特に高pH値に関する)の組成は、直接制限酵素処理を行うのに適していません。PCR産物を精製してから制限酵素処理することをお勧めします。
Expand™ High Fidelity PLUS PCR Systemを使用して増幅した8クローンのシーケンスをしています。半分のクローンは変異をもち、それは全て異なる変異です。シークエンスする配列は600bpで、シークエンスは確実で信頼性のあるものです。この変異率は正常ですか?酵素のほかにPCR配列中の変異を説明する物がありますか?
この変異率は非常に高いです。Taq DNA Polymeraseの一般的なエラー率は、lacIのPCR正確性分析によって決定され、1×10-5-2.5×10-5の範囲です。社内ラボの情報では1.8×10-5と規定しています。Expand™ High Fidelity PLUS PCR SystemはTaq DNA Polymeraseより6倍低いエラー率(0.4×10-5)です。但し、このエラー率は理想的な条件で決定しています。サイクル数を比較的少なくして、塩濃度を厳密に最適化しています。
さらに、PCRの正確性にネガティブに関与するパラメーターは沢山あります。
- DMSOやエタノール、フェノール(後者2つはDNA抽出から持ち込みの可能性があります)のような有機溶剤
- 長すぎる変性ステップ
- 多すぎるサイクル数
- 過剰な酵素濃度
- 過剰なdNTP濃度
- 純度の低いテンプレートや損傷のあるテンプレート
- 最適でないマグネシウム濃度
- 最適でないpH
例えば、MgCl2濃度を2.5から1.5mMに減らす事で、Taq DNA Polymeraseの正確性は5倍高くなる事がわかっています。しかし、最高の正確性を確立する為には、バッファー組成やpH値、ヌクレオチド濃度、酵素濃度、サイクル条件を各酵素ごとに最適化しなければなりません(上述したプルーフリーディング酵素のエラー率はpH値を7.5から9.1に変える事であげることが出来ます。その上、他の酵素ではエラー率が劇的に増加します。同様の事象はMg2+濃度でも見られます。)
まず最初の測定のために、テンプレートDNAの質の確認と、MgCl2濃度の最適化をするための滴定を行います。DMSOやその他の有機溶剤のの使用は避けます。抑えたサイクル数(20以下)で、十分な感度が得られる量までテンプレート量を増量します。
最高の正確性を求める場合、純粋なプルーフリーディングポリメラーゼであるPwo SuperYield DNA Polymeraseを使用します。これはTaq DNA Polymeraseより18倍高い正確性を示し、3kbまでを増幅します。
Expand™ High Fidelity PCR Systemで増幅したPCR断片を、Tオーバーハングベクターに入れてクローニングすることは出来ますか?
Expand™ High Fidelity PCR Systemで合成したPCR産物は、平滑末端と3'末端Aオーバーハングが混ざっています。つまり、ブラントエンドクローニング法にもT/Aクローニングシステムにも使用できます。
Expand™ High Fidelity PCR Systemでバイサルファイト処理植物ゲノムDNA(非メチル化シトシン→ウラシル)を増幅しています。効率的にPCR産物を得られていますが、Taq DNA Polymeraseで増幅した場合と比べ、PCR産物のメチル化状態が異なります。その理由はなんですか?
ウラシル(U)を含んだDNAは、Expand™ High Fidelity PCR System(Expand™ Long TemplateやExpand™ 20kb)のテンプレートに適していません。これらのPCRシステムはTaq DNA PolymeraseとTgo DNA Polymeraseのブレンドです。Tgo DNA Polymeraseは3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を持ちプルーフリーディング酵素と呼ばれます。 全てのプルーフリーディングポリメラーゼは古細菌由来でDNAポリメラーゼのBクラスに属します。古細菌DNAポリメラーゼは、僅かなウラシルを含むDNAからでも、強い阻害を受けます。dU残基を含むオリゴヌクレオチドが、別のDNA-プライマーハイブリッド上のポリメラーゼの活性を阻害する事が知られています。dUを含むテンプレートに対する古細菌由来のDNAポリメラーゼの性質は、ポリメラーゼの「前に読む」機能に起因して、プライマー伸長を導く前のテンプレート読み取り、デオキシウリジンに出会って5'→3'ポリメラーゼ活性を止めます。
dUを含むDNAはTgo DNA Polymeraseを失速させて停止させるので、テンプレートとなりません。dUが無いものとしてメチル化DNAが増幅された場合、Expand™ High Fidelity PCR System中のTaq DNAPolymeraseだけが活性を持っていたと考えられます。
バイサルファイト処理したDNAをテンプレートにして正確性の高いPCRを行う場合は、Expand™ High Fidelity PLUS PCR SystemかFastStart™ High Fidelity PCR Systemをご使用下さい。これらはTaq DNA PolymeraseもしくはFastStart™ Taq DNA Polymeraseとロシュが分離同定したプルーフリーディング活性タンパク質のミックスです。このタンパク質はプルーフリーディング活性をもちますが、ポリメラーゼ活性はもちませんので、dUを含むDNAでも反応は阻害されません。
GC Rich Resolution Solutionには何が入っていますか?
申し訳ございませんが、社外秘ですので公表できません。
GC Rich PCR Systemのエラー率はどれくらいですか?
bpごとのエラー率(LacIアッセイによる)は8.5×10-6です。
Pwo Masterのプルーフリーディング活性の正確性は?
Pwo Masterの主要素は耐熱性プルーフリーディングポリメラーゼPwo DNA Polymeraseです。Pwo DNA Polymeraseはエラーを修正する3'→5'方向のエキソヌクレアーゼ(プルーフリーディング)活性を持つ高い5'→3'方向のDNA Polymearseです。Pwo Masterは、酵素特性を増強したPwo SuperYield DNA Polymeraseを含み、DNAポリメラーゼの正確性を変えることなく増幅の堅牢さと高い収量が得られます。Pwo SuperYield DNA Polymeraseのプルーフリーディング活性はTaq DNA Polymeraseの18倍です。
lacI-based fidelity assayにより正確性を決定しています。これにより、Taq DNA Polymeraseのエラー率は10.4(±3.3)×10-6であり、Pwo SuperYield DNA Polymeraseは0.57(±0.1)×10-6です。
新しいPwo MasterとPwo DNA Polymeraseの違いはなんですか?
Pwo Masterは、Pwo Super Yield DNA Polymeraseの最適なバッファーシステム、PCRグレードヌクレオチドミックスを2倍濃度のプレミックスにしています。
Pwo Masterの主要な構成物は耐熱性プルーフリーディングポリメラーゼPwo DNA Polymeraseです。Pwo DNA Polymeraseは高い5'→3'ポリメラーゼ活性と取り込みエラーを修正する3'→5'エキソヌクレアーゼ活性を持ちます。Pwo Super Yield DNA Polymeraseは酵素活性を増強し、結果的に高い正確性を保ったまま高収量が得られます。
Pwo MasterはPCRセットアップを簡単にし、単品酵素を使用する場合に比べてトラブルの可能性を下げます。
- テンプレートとプライマーを加え、PCRグレード水で最終反応容量に調節するだけです。
- PCRセットアップにおけるピペッティング回数を減らします。
- コンタミネーションのリスクを軽減します。
- 2~8℃で保存でき、すぐに使用できます。凍結融解の必要がありません。
Titanで、逆転写無しでコントロール反応を行うにはどうしたらいいですか?
逆転写反応ステップを除いて反応させてください。反応液を調製後、直接PCRの変性ステップ(94℃2分間)から反応させます。逆転写酵素は不活性化します。
もしくは、PCRの変性ステップを始める前にRNAテンプレートをRNase Aで処理します。反応が正常であれば、PCR産物は検出されないはずです。もしPCR産物が見られた場合は、以下の問題が考えられます。
- RNAテンプレート中にDNAのコンタミネーションがある。
- 反応ミックス中にDNAのコンタミネーションがある。
- RNAが逆転写されて、そこからPCR産物が増幅された。
- 変性ステップの加熱の間に転写に十分な時間があった。
Titan RT-PCR SystemはmRNA Capture Kitと一緒に使えますか?
はい。Titan RT-PCR System(Titan One Tube RT-PCR System、Titan One Tube RT-PCR Kit)はmRNA Capture Kitと一緒に使えます。
Titan Systemで増幅できる最大のサイズは?
6kbまでの増幅を成功させています。TitanはAMVとExpand™ High Fidelity PCR Systemのブレンドです。各酵素を別々に反応させた場合はさらに長い産物を合成できるかもしれませんが、Titanの場合は収量と現性が6kbくらいから小さくなります。
Titan Systemで標識ヌクレオチドやdUTPを取り込めますか?
はい、このシステムはDIG-dUTPやフルオレセイン-dUTP、ビオチン-dUTPを用いたDNA標識に使用できます。しかし、未標識dUTPは効率的に取り込めませんので、ウラシルDNAグリコシダーゼを用いたキャリーオーバー防止システムは使えません。
Titan One Tube RT-PCR Kitはランダムプライマーを同梱していますか?ランダムヘキサマープライマーだけを購入する事は出来ますか?
Titan One Tube RT-PCR Kitにプライマーは含まれません。単品試薬としてご購入頂けます。
以下のオーダー情報を参照して下さい。
ランダムプライマーp[dN]6
cDNA合成用プライマーp[dT]15
Titan One Tube RT-PC Kitには下記の試薬が含まれます
- Titan Enzyme Mix:Expand™ High Fidelity 酵素ブレンドとAMV Reverse Transcriptase
- dNTPミックス 10 mM(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)
- RNase阻害剤
- ヒトコントロールRNA
- コントロールプライマーミックス
- 滅菌蒸留水PCRグレード
- RT-PCR反応バッファー(5倍濃度)(7.5 mM MgCl2、DMSO)
- DTT溶液(100 mM)
- MgCl2ストック溶液(25 mM)
in situハイブリダイゼーションの ためにRNAプローブを作ります。ラット脳のmRNAからcDNAを増幅するのにTitan One Tube RT-PCR Kitを使う予定です。得られるPCR産物のクローニングには、TAクローニングベクターが適していますか?
Titan One Tube RT-PCR Kitに含まれるロシュ・アプライド・サイエンスのExpand™ 酵素ブレンド(Taq DNA Polymeraseと3'→5'プルーフリーディングポリメラーゼ)により合成されるPCR産物は平滑末端とAオーバーハング末端の両方を含みます。しかしながら、酵素ブレンドのなかのTaq DNA PolymeraseとTgo DNA Polymeraseの濃度と活性に関係して、ほとんどのPCR産物はAオーバーハングを持ちます。そのため、Titan One Tube RT-PCR Kit でのPCR産物はTAクローニングに適しています。
一度のPCRで目的の遺伝子とコントロール用のハウスキーピング遺伝子を増幅しようと考えています。Titan One Step RT-PCR Systemはこれに適していますか?
Titan One Step RT-PCR Systemは、ワンチューブでのマルチプレックスPCRに最適です。一本のチューブでコントロール遺伝子と目的の遺伝子を同時に増幅する事は、結果の解釈に影響を及ぼす測定間の不一致を低減します。
参考文献
- M. R. Hynd, H. L. Scott and P. R. Dodd (2001). GlutamateNMDA receptor NR1 subunit mRNA expression in Alzheimer's disease. Journal of Neurochemistry, Vol. 78, No. 1, 175-182.
- C. K. Ward, S. R. Lumbley, J. L. Latimer, L. D. Cope, and E. J. Hansen (1998). Haemophilus ducreyi Secretes a Filamentous Hemagglutinin-Like Protein. Journal of Bacteriology, Vol. 180, No. 22, 6013-6022
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- D. A. Lewis, M. K. Stevens, J. L. Latimer, C. K. Ward,?? K. Deng, R. Blick, S. R. Lumbley, C. A. Ison, and E. J. Hansen (2001). Characterization of Haemophilus ducreyi cdtA, cdtB, and cdtC Mutants in In Vitro and In Vivo Systems. Infection and Immunity, Vol. 69, No. 9, 5626-5634.
- B. Li, L. A. Nolte, J.-S. Ju, D. H. Han, T. Coleman, J. O. Holloszy and C. F. Semenkovich (2000). Skeletal muscle respiratory uncoupling prevents diet-induced obesity and insulin resistance in mice. Nature Medicine Vol. 6 No. 10, 1115 - 1120.
Transcriptor RTは5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を持ちますか?
いいえ。Transcriptor RTは5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を示しません。
Transcriptor RTで第一鎖cDNAに標識ヌクレオチドを取り込むことは可能ですか?
Transcriptor Reverse Transcriptaseは効率的にCy3やCy5、アミノアリル、DIG、ビオチン標識dUTPを取り込みます。そのためマイクロアレイ実験などにも適した酵素です。
インキュベーション温度:
アミノアリルdUTP取り込みを伴う逆転写反応において、インキュベーション温度は42℃を推奨します。より低温の39℃が有効な場合もあります。他の全てのパラメーターは製品説明書に沿って下さい。
標識ヌクレオチドと非標識ヌクレオチドの割合:
標識:非標識=1:4の割合から始める事をお勧めします(1mM 標識dUTP、3 mM dTTP、5 mM dATP、5 mM dCTP、5 mM dGTP)。
一部のアレイ実験では、割合を2:3、3:2と変えることでシグナルの増強が図れます。逆転写プロトコールの他の全てのパラメーターは製品説明書に従って下さい。
aa-dUTP:dTTPの3:2の割合は酵母のORFのアレイに最適です。2:3や4:1に変更することで、シグナルをより増強出来ます。
Transcriptor Reverse Transcriptaseでオリゴ[dT]やランダムヘキサマーを用いて製品説明書のプロトコールどおりに反応させた場合の逆転写産物の平均鎖長を教えて下さい。
Transcriptor Reverse Transcriptaseで転写される平均鎖長は実験的(電気泳動など)に決定していません。製品説明書での推奨反応条件下でのTranscriptor RTは、フルレングスの転写を行います。Transcriptor RTの平均転写鎖長は、サンプルの平均mRNA鎖長により決定されます。多くの文献では哺乳類の平均mRNA鎖長は1.5~2.0kbと記載されています。ランダムヘキサマープライマーを使用した平均cDNA鎖長は短くなります。なぜなら内部に複数のプライマー結合部位があり、そのためmRNAサイズより小さくなります。恐らく、ヘキサマープライマーを用いて逆転写されるcDNAのサイズは0.5~1.0kb程度になります。
トランスクリプターRTはターミナルトランスフェラーゼ活性を示しますか?
示しません。Transcriptor RTはターミナルトランスフェラーゼ活性を持っていません。
ターミナルトランスフェラーゼ触媒作用はDNAの3'水酸基末端の無機リン酸基の遊離と同時にデオキシヌクレオチドを付加します。テンプレートは必要なく、また複製もしません。一本鎖DNAがプライマーとなります。二本鎖DNAが3'突出末端をもつ場合、その伸長は最も効率的です。
しかしながら、クレノー断片による3'OH末端の埋め込みのような反応において、Transcriptor RTで3'末端標識が可能です。Transcriptor RTはエキソヌクレアーゼ活性を持たないので、3'末端標識はクレノー断片よりも効率的です。(5'→3'DNAポリメラーゼ活性を3'→5'エキソヌクレアーゼ活性より優勢にする為に、過剰量のdNTPsが必要です。)
5'/3' RACE Kitの製品説明書の14ページに記載されているターミナルトランスフェラーゼ濃度について質問です。このキットでは、バイアル6に80U/μlの濃度で酵素が供給されています。プロトコールの14ページには、酵素を80U若しくは1μl使用することが書かれています。これは、単品試薬のTerminal Transferaseのプロトコールとは異なります。80Uは正しいのですか?なぜ酵素濃度を減らしているのですか?
5'/3' RACE Kitのプロトコールは正しいです。キット中で推奨している使用方法は、単品酵素製品の使用方法と異なります。RACEキットの説明書に記載されている酵素濃度は検証された上、反応ごとに80Uが最も良い結果が得られたことを確認しています。
cDNAの3'末端にAテールを付加するためにターミナルトランスフェラーゼを使用しています。ターミナルトランスフェラーゼのバッファーには常にカコジル酸と塩化コバルトが含まれます。なぜ5'/3' RACE Kitの反応バッファーには2つの組成が含まれないのですか?
カコジル酸と塩化コバルトはPCR反応に影響を与えるため、反応バッファーに加えておりません。その為、テーリングしたcDNAは精製することなく、そのままPCRで増幅を行うことが可能です。テーリング反応使用するバッファーにカコジル酸や塩化コバルトが含まれると、このように簡単なステップは出来ません。この改変プロトコールは、MA Frohmannで発表されています。
5'/3' RACE Kitの反応バッファーは塩化コバルト無しで働くように設計されています。トランスクリプターのもつRNaseH活性に起因して、第一鎖cDNA合成産物は完全な一本鎖cDNAです。ターミナルトランスフェラーゼの好む基質は、一本鎖DNAや3'水酸基突出型の二本鎖DNAです。ターミナルトランスフェラーゼのコファクターとしての塩化コバルトは、基質の末端が平滑末端な二本鎖DNAの場合や3'末端の水酸基がくぼんでいる場合のみ必要です。
文献
- Frohman, M.A., Dush, M.K. & Martin, G.R. (1988) Rapid production of full-length cDNAs from rare transcripts: amplification using a single gene-specific oligonucleotide primer. Proc. Natl Acad. Sci. USA 85, 8998-9002.
- Frohman MA. Rapid amplification of complementary DNA ends for generation of full-length complementary DNAs: thermal RACE. Methods Enzymol. 1993;218:340-56
- Zhang Y, Frohman MA. Using rapid amplification of cDNA ends (RACE) to obtain full-length cDNAs. Methods Mol Biol. 1997;69:61-87.
5'/3' RACE Kitに含まれる5' RACE用のコントロール反応は、数回試したにもかかわらず、非常に貧弱な結果しか得られません。この理由はなんですか?
製品説明書のトラブルシューティングではなく、恐らくターミナルトランスフェラーゼによるテーリング反応効率が衰弱していると考えられます。いくつかの原因により発生する事が考えられます(コントロール反応だけでなく5' RACE全般的に)。
- 変性:テーリング反応前の変性がプロトコールどおりに行われているか確認します。94℃で3分間インキュベートし、急冷します。
- インキュベーション時間:テーリング反応のインキュベーション時間は30分まで追加できます。
- High Pure PCR Product Purification Kit:室温でなく、4℃で保存した場合、Binding Bufferに沈殿が生じます。このバッファー組成の沈殿は溶出液に混入する事により、次のターミナルトランスフェラーゼ反応を阻害します。
- cDNA精製プロトコール:製品説明書に従って正確に行って下さい。
特に、最後の洗浄ステップの後の遠心を13000×gの最大速度で2分間行うことが重要です。cDNAの溶出の前にフィルターチューブが完全に乾いている事が重要です。エタノールはテーリング反応を阻害します。その他の遠心ステップは6000-8000×gで30秒間で十分です。
5'/3'RACE Kitで5'RACEをする場合、ポリAテールDNAの増幅に適したPCRシステムはなんですか?
その増幅効率と正確性から、ポリAテールのDNAの増幅にはTaq DNA PolymeraseよりもExpand™ High Fidelity PCR SystemとExpand™ Long Template PCR Systemをお勧めします。
dNTPとMgCl2の最終濃度は、各製品の指示書のプロトコールに沿って調整します。
PCR産物の鎖長と反応液中のcDNA量によって、Expand™ High Fidelity PCR SystemかExpand™ Long Template PCR Systemのいずれかを使用します。大体はExpand™ High Fidelity PCR Systemを推奨します。
5'/3' RACE Kitの製品説明書の3ページに記載されている、addition to the listed Kit componentのHigh Pure PCR Product Purification Kitは別送で届くのですか?
いいえ。5'/3' RACE Kitを使用する際には、別途High Pure PCR Product Purification Kitをご購入頂く必要があります。
Protector RNase Inhibitorを含む荷物を受け取りました。荷物の到着が遅れ、開梱した時にはドライアイスがありませんでしたが、触れた際には冷たかったようです。凍るほどではなく、15℃くらいだったと思います。すべてのバイアルが解けていました。まだ使えますか?それとも全て失活していますか?
4℃で1週間置いた後の活性は10%程度落ちています。37℃で1週間置いた後の活性は20-30%落ちています。あまり長く放置していない場合は、問題なく使用できると思います。
白血球からRNAを分離したいのですが、細胞を集めた後、RNA分離を始める前にProtector RNase Inhibitorを加えればいいのですか?推奨濃度はどのくらいですか?
このような実験に適したデータは保持しておりません。おそらく、このアプリケーションでは使用できません。50kDaのタンパク質であるProtector RNase Inhibitorは、細胞中に浸透しません。Protectorは精製されたRNAに加えてRNAを保護する場合に使用して下さい。
細胞ペレットを-80℃で凍結した場合、RNAを安定して保存できます。
Tth DNAポリメラーゼを用いた2ステップ反応に必要なEGTA溶液の調製はどうしますか?
7.5 mMの濃度でEGTA溶液を調製します。pHを調製する必要はありません。
ProbeFinderソフトウェアではどのような配列や番号が受け付けられますか?
インプット画面の入力ボックスは2種類あります。どちらかをご選択ください。
【By sequence ID. This field accepts sequence identifiers from the following databases:】
-Ensembl (e.g. ENST00000158302).
-RefSeq (e.g. NM_001101).
-EMBL (e.g. AB062273).
[シークエンスは、関連データベース内の最近のバージョンが検索されます]【By sequence. This field accepts input sequences in the following formats:】
-Fasta
-Simple sequence
[IUPAC nucleotide symbols (acgtuACGTU) を受け付け可能です。 含まれるスペース、 数字、 ヌクレオチド以外の文字は含まれていても無視されます。]
アッセイデザインセンター(ProbeFinderソフトウェア)はどうやって使うのでしょうか?
まずは、アッセイデザインセンターにアクセスします。< https://qpcr.probefinder.com/organism.jsp>
- 入力ボックスに 遺伝子データベースID、または配列(Ensembl/RefSeq/EMBL)を入力またはペーストします。 または、遺伝子名(例:actin)を入力します。
(イントロンを考慮しない場合は、'Automatically select an intron spanning assay,'のチェックを外します。(あらかじめチェックが入っています)) - 'Design.'ボタンをクリックします。
(遺伝子名を入れた場合、テキスト検索された候補が表示されるので希望の候補を選択します。) - Universal ProbeLibrary (UPL) プローブ を用意します。(弊社販売店様へご用命ください)
デザイン結果に表示されたプライマーを、オリゴメーカーに注文し合成します。
試薬を用意します。 - プライマー、プローブを組み合わせ、qPCR アッセイを行います。
Universal ProbeLibrary(UPL)プローブの保存方法を教えてください。
本製品は、蛍光標識されたオリゴヌクレオチドです。
繰り返しの凍結融解は避け、遮光して保存してください。
最初のご使用時に融解したときに適宜分注して保存し、各分注バイアルについては凍結融解を繰り返さないようにご利用いただくことをおすすめいたします。
(推奨濃度でご利用いただきますと、12μL程度で50回/20μL反応 となります。 )
Universal ProbeLibrary probes(UPL)プローブ製品のプローブ濃度を教えてください。
Universal ProbeLibrary(UPL)のセットおよびプローブは、1バイアルに濃度10μM, 液量125μLとなっています。
*LC Yellow555が標識されたUniversal ProbeLibrary Reference Gene Assay Humanセットおよび各セットについては、プローブが1バイアルに濃度10μM, 液量100μL、プライマーは1バイアルに濃度20μM, 液量100μLとなっています。
UPLプローブを使ってスプライスバリアントを区別することはできますか?
はい。 ツールがありますので、配列によっては可能性があります。
デザインの際に、区別して検出する「Differentiating Assay」と、区別せずに検出する「Common Assay」を選択して行うことができます。
まずは、区別/非区別に関わらず、その候補となる全ての配列を「, 」(カンマとスペース)で区切ってインプットします。
Designを行うと、入力された全ての配列に対してそれぞれデザインする、「Batch Assay」が行えます。
次に、この結果ページの画面下に表示される、「Differentiating Assay」を選択すると、それぞれのバリアント全てに対して別々に検出できるアッセイがデザインされます。 一方「Common Assay」を選択すると、入力されたバリアント全てを1つのアッセイで共通して検出できるデザインが行われます。
候補配列が1つでもアッセイや配列の計算に適しない場合には結果表示されませんのでご注意ください。
既に構築された系のPCRプライマーに合うUPLプローブを見つけるためにデザインセンター(ソフトウェア)を使用することはできますか?
残念ながら以下の2つの理由のためデザイン検索は困難です。
- 本ソフトウェアは、まず入力されたシークエンスに対して結合可能なプローブを検索します。 そして次に、Primer3プログラムを使用してこれらのサイトに適切なプライマーをデザインします。
残念ながら逆順のデザインができませんのでプライマーからのプローブ検索・アッセイデザインを行うことができません。 - ProbeFinderソフトウェアで使用されているPrimer3プログラムは、UPLプローブと組み合わせるために最適化されています。 特にプライマーとプローブのTm値が適切でなければなりません。
残念ながらあらかじめ作成されたプライマーが条件を満たしているとは限らないため、別の系のプライマーを用いることは推奨されていません。(もしも配列が合致しそうなプローブが見つかった場合でも、大事な測定の前には予備実験によって反応を確認することをお奨めいたします。)
購入したUniversal ProbeLibrary Probe 単品プローブの説明書にプロトコルの記載がありませんが何を参考にしたら良いでしょうか?
Universal ProbeLibrary Probesの単品プローブは、容器が小さいため詳細な説明書は同梱しておりません。
こちらのアドレスからご参照ください。
または、同封Informationシートのウェブサイト、またはアッセイデザインセンターからもアクセス可能です。
デザインセンター画面左側の''Pack Insert''をクリックしてください。
プローブ結合サイトの配列とプローブ配列はわかりますか?
デザインでヒットしたUniversal ProbeLibrary(UPL)プローブは、デザイン結果画面で結合サイトが表示されています。
結合サイトのシークエンス情報は、デザイン結果画面の'Detailed Veiw'で確認することができます。(見にくい場合はZoomボタン等で調節してください)
実際のプローブ配列はこの認識配列か、その逆の相補配列のどちらかとなっています。
Universal ProbeLibraryプローブの番号は生物種、セット、プローブによって特有のものですか? 例えば、マウスセットの#5と、ヒトセットの#5は同じものですか? また配列は異なりますか?
Universal ProbeLibraryプローブは、#1~#165までの全165本から構成されています。
どのセットに含まれているプローブでも、同じ番号のプローブは同じプローブ配列を持っています。
生物種に特有のものではありません。 もちろん、異なる生物種でも共通でお使いいただけます。
クエンチャー(quencher dye)の設定
Universal ProbeLibrary (UPL) プローブに使われているクエンチャーは、ダーククエンチャー(Dark Quencher)*です。
*Exiqon社により開発され特許されたQuencher Dye (anthrachinon quencher )です。その他の情報は企業秘密となっております。
Applied Biosystems社のリアルタイムPCR装置を使用する場合は、クエンチャーの指定を "non-fluorescent" にしてください。
その他のリアルタイムPCR装置では、無蛍光クエンチャーまたはこれに類するものをご選択ください。
ストックソリューションはどのように調製しますか?
アガロースゲルの1レーンにロードする分子量マーカー量を計算します(使用するゲルの大きさと厚さに依存します)。例えば;1μgDNA分子量マーカー=4μl分子量マーカー(250μg/ml)
ゲルにロードできる溶液量が10μlとすると、グリセロールとダイを含むローディングダイ(大抵は10倍濃度)は1μl。
そのため、1レーンあたり、4μl DNA分子量マーカー、5μl TEバッファー、1μl ローディングダイ、となります。
このように個々の計算に基づき、簡単にスケールアップできます。
DAN分子量マーカーIIは制限酵素で切断できますか?
はい。DNA分子量マーカーIIは、制限酵素ApaIとSacIのユニット定義や品質検定に使用できます。
分子量マーカーの断片を調製する為に使用した制限酵素は除去されていますか?分子量マーカーはタンパク質フリーですか?
はい。切断後の分子量マーカーはフェノール抽出とエタノール沈殿と透析によりタンパク質を除去しています。そのため、分子量マーカーは制限酵素やタンパク質を含んでいません。
異なる断片鎖長を分離するには何%のアガロースゲル、もしくはアクリルアミドゲルが必要ですか?
アガロース%・・・・・・断片鎖長(kb)
0.5%・・・・・・1kbから30kbまで
0.7%・・・・・・0.8kbから12kbまで
1.0%・・・・・・0.5kbから10kbまで
1.2%・・・・・・0.4kbから7kbまで
1.5%・・・・・・0.2kbから3kbまで
3.4%・・・・・・0.01kbから1kbまで
アクリルアミド%・・・・・・断片鎖長(kb)
3.5%・・・・・・100kbから1000kbまで
5.0%・・・・・・100kbから500kbまで
8.0%・・・・・・60kbから400kbまで
12.0%・・・・・50kbから200kbまで
20.0%・・・・・5kbから100kbまで
分子量マーカーの5'末端はリン酸化されていますか?
はい。DNA分子量マーカーの断片は5'末端がリン酸化される制限酵素によって作られています。
分子量マーカーIIはアルカリ勾配ゲルで使用できますか?
はい。使用できます。
DIG標識分子量マーカーの製品説明書には「NaOHを用いたアルカリトランスファーはDIG標識を劣化させます」とあります。 DIGアプリケーションマニュアルfor Filter Hybridizationの91ページの3.1.2.1ステップ3では、DIG標識DNA分子量マーカーを使用しており、3.1.2.2ステップ3でNaOHを用いてDNAを変性させています。 どちらの情報が正しいでしょうか?DIG標識分子量マーカーには、アルカリ不安定型DIG標識が使われていますか?どのようなトランスファーの方法を用いればよいでしょうか?
DIGシステムの全てのDNAキットには、ストリッピングを容易にする為にアルカリ不安定型DIG標識dUTPが使用されています。DIG標識分子量マーカーはPhoto-DIGと言う方法でDIG標識されています。Photo-DIGで標識されたDNAを短時間のNaOH処理を伴う一般的なトランスファーで使用できますが、アルカリトランスファーには適しません。
Expand™ Long Template PCR SystemとExpand™ High Fidelity PCR Systemはどのように使い分けますか?
テンプレートサイズによって使い分けます。
5kb以下の場合は、Expand™ High Fidelity PCR Systemを推奨します。5-10kbの場合は、どちらかで検討して下さい。10kb以上の場合は、Expand™ Long Template PCR Systemを推奨します。
GCリッチテンプレートの増幅用に提供されている製品はありますか?
ロシュ社では、GCリッチ(75%までのGC含量)やその他の増幅困難なテンプレート(反復配列や広域な二次構造)などの増幅に適した3つの製品があります。
- GC Rich PCR System
5kbまでの増幅に適したTaq DNA Polymeraseとプルーフリーディング活性ポリメラーゼのブレンドです。 - FastStart™ Taq DNA Polymerase(with GC Rich Resolution solution)
ホットスタートPCRをGCリッチテンプレートの増幅、高収量、高感度を併せ持ちます。 - FastStart™ High Fidelity PCR System(with DMSO)
ホットスタートPCRと増幅中の正確性、GCリッチテンプレートの増幅、高収量、高感度を併せ持ちます。
ホットスタートTaq DNA Polymeraseを探しています。FastStart™ Taq DNA PolymeraseとFastStart™ High Fidelity PCR Systemがあるのは知っています。後者はPfu Polymeraseと同様の収量が得られますか?どのようにホットスタート酵素が働きますか?抗体と結合していますか?
FastStart™ Taq DNA PolymeraseはTaq DNA Polymeraseを化学修飾したものです(抗体タイプのホットスタートシステムではありません)。75℃以下では不活性化したままで、95℃で2-4分間加熱する事で活性化します。加熱により酵素から修飾基が除去され、ポリメラーゼ活性が復活します。
FastStart™ High Fidelity PCR SystemはFastStart™ Taq DNA Polymeraseと、同様に化学修飾された熱耐性プルーフリーディングタンパク質のブレンドです。このタンパク質はプルーフリーディング(3'→5'エキソヌクレアーゼ)活性を持ちますが、DNAポリメラーゼ活性は持ちません。上述のとおり両タンパク質は75℃以下では活性を示さず、95℃2分間の加熱により活性化します。
FastStart™ High Fidelity PCR SystemのFastStart™ Taq DNA Polymeraseとの大きな違いは
- 様々なDNAやcDNAを5kb断片鎖長まで増幅できます。FastStart™ Taq DNA Polymeraseは3kbまでしか増幅できません。
- FastStart™ Taq DNA PolymeraseやTaq DNA Polymeraseの約4倍の正確性を示します。
詳細はPCR試薬とセレクトガイドをご覧下さい。
TeloTAGGG Telomerase PCR ELISA plusの反応ミックス(ボトル2)に予めTaq DNA Polymeraseが含まれています。同じTaq DNA Polymeraseを単品で購入できますか?
はい。可能です。この製品に入っているTaq DNA Polymeraseは、単品試薬のTaq DNA Polymerase, 5U/μlと同じです。
PCRラベリングに使用できる標識ヌクレオチドを教えて下さい。
Biotin-16-dUTP
Digoxigenin-11-dUTP, alkali-stable
Digoxigenin-11-dUTP, alkali-labile
Fluorescein-12-dUTP
Tetramethyl-rhodamine-5-dUTP
7-Deaza-dGTP
Ready-to-Useラベリングミックス&キット
PCR DIG Probe Synthesis Kit(高感度ハイブリダイゼーションプローブ合成用です。)
PCR DIG Labeling Mix(PCR増幅産物の検出用のDIG-dUTPによるヌクレオチドラベリング用です。PCR DIG Probe Systhesis Kitのラベリングミックスとは異なります。)
PCR DIG Labeling Mix PLUS(キャリーオーバー防止用のPCR DIG Labeling Mixです。)
PCR Fluorescein Labeling Mix
さらに詳しい情報はPCRスペシャルサイトをご覧下さい。
また、PCRマニュアル、7章からもご覧頂けます。
DIGアプリケーションマニュアルFor Filter Hyb.の2.2章、6章でもご覧頂けます。
Expand™ 20kb PLUS System を使って、23kb断片の増幅を試みました。キットに含まれるヒトβグロビン遺伝子用コントロールプライマーを用いて、他の29kbまでの増幅に勧められるプライマーと同様に行いました。両方とも20kbまでの産物しか得られませんでした。他の酵素を使用して同じプライマーで増幅した場合も20kbまでのPCR産物が得られました。
頂いた情報から、産物は正しく働いていることを示しています。鎖長の差異は次善のPCR条件か、DNAテンプレートが解凍時に若干ダメージを受けているかにより、PCR断片を短くします。
- ご使用中のサーマルサイクラーがプログラムされた温度まで達しているか確認します。アニーリング温度が低すぎる場合は、非特異的な産物を合成する可能性があります。製品説明書のパラメーターがサーマルサイクラーに反映しているか確認します(最初の10サイクルの伸長反応時間を長くする事で、断片全体の複製を確かにします)。
- 製品説明書のプロトコールに沿って2マスターミックス法を行い、2つのミックスを混ぜ合わせた後、すぐにサイクルをスタートします。このシステムはホットスタートではないので、テンプレートと酵素を混ぜる余分な時間に、非特異的に結合したプライマーが非特異的な伸長を行う可能性があります。
- テンプレートDNAの状態を検証します。キットに同梱されるヒトゲノムDNAを用いて追加でコントロール実験を行います。もし再び20kbの産物しか得られない場合、PCR条件に問題があります。DNAが2~8℃で保存されているか確認して下さい。断片化を起す可能性のある凍結融解を行っていない事、激しくボルテックスしていない事を確認します。これらは高分子量DNAにダメージを与えます。
トランスクリプターを用いたRT-PCRで問題が起こりました。特異的バンドが得られません。トラブルシューティングはありますか?
RT-PCRにおけるトラブルにはいくつかのエラーの原因があります。トラブルはターゲットcDNAの増幅にあるかもしれません。以下のトランスクリプターの一般的なトラブルシューティングを参考にして下さい。
RNAテンプレートの問題
テンプレートの品質と量を確認します。
- 変性アガロースゲルでRNAが分解されていないことを確認します。
- テンプレートの精製度を確認、もしくは精製操作を繰り返します。
- RNAテンプレート量を分光光度計のA260で測定します。
- 以下のテンプレート量に調節します。
トータルRNA:10 ng-5μg
mRNA:1-100 ng
もし、テンプレート量が少なければ、cDNA合成に有利な遺伝子特異的プライマーを使用します。
- RNAを安定させるために、RNAサンプルは10μg/mLのMS2 RNAで希釈します。
RNaseコンタミネーション
- RNaseによるcDNA合成反応中のRNA分解を、プロテクターRNaseインヒビターで保護します。RT-PCRに影響無く、標準量の3倍(60 U)まで使用できます。
- ファーストストランド合成反応にRNaseが存在するか、コントロールRNAをサンプルに加えて確認します
- RNaseフリーのチューブとピペットを使います。
mRNAの鎖長
- 4 kbまでのmRNAの逆転写には、55℃30分インキュベートします
- 4 kb以上のmRNAには、50℃1時間のインキュベーションが推奨されます。低い温度でインキュベーションを伸ばすことによって、完全長で高収量cDNAを得ることができます。
高次構造を伴う困難なテンプレート(GCリッチテンプレート)
GC含量70%までの RNAは逆転写可能です。
- 反応温度を65℃まで上げてください。
- 65℃5分間のインキュベートにより、テンプレートとプライマーの変性ステップを加えてください。
- ランダムヘキサマープライマーか遺伝子特異的プライマーを用いてください。
- ファストスタートTaq DNAポリメラーゼとGCリッチリゾリューション溶液を使用してください。
- ファストスタートハイファイPCRシステムとDMSOを使用して下さい。
- ターゲットcDNAの3'末端に近いPCRプライマーを用いてください。
酵素濃度が多過ぎる、あるいは少な過ぎる
- 1μgトータルRNAを用いた20μlのcDNA合成反応では、10 U以上のトランスクリプターリバーストランスクリプターゼを使用しないでください。
- 5μg以上のトータルRNAには反応容量の増加と比例してトランスクリプターリバーストランスクリプターゼを増量してください。
- 濃度の低いテンプレートには、ユニット量も減らしてください。
反応温度が高すぎる、もしくは低すぎる
4 kbまでの短いcDNA合成には、42-65℃の間で最適化を行います。
14 kbまでの長いcDNA合成には、42-60℃の間で最適化を行います。
RT-PCRで増幅しない
操作ミスが無いことを、コントロールRNAとコントロールプライマーを用いて検証します。
ランダムヘキサマープライマーの使用
cDNA産物の平均的鎖長をコントロールするために、ランダムプライマーのRNAに対する割合を調整します。この説明書で推奨される高い割合は、短いcDNAを合成します。ターゲット配列複製の可能性を増加させます(推奨されるコンディションを用いたPCRにより6 kbまでの断片が増幅できる)。より長いcDNAが必要な場合、ランダムプライマーの濃度を1.5μMまで減少させます。
逆転写反応の阻害剤
ファーストストランド合成前にmRNAをエタノール沈殿することにより阻害物を除去します。さらに70%エタノール洗浄ステップを加えます。最後にエタノールは完全に除去します。
リアルタイムPCRがうまくいきません。
まずは、ゲル電気泳動で目的の産物が存在しているのかどうかを確かめます。
【増幅産物(アンプリコン)が無い場合】
シグナル検出の前に産物を増幅させることが必要です。
→発現が微量な遺伝子であることが予想されますか?
- cDNAのアプライ量を増やす (RT産物の場合、反応液の10%まで。増やしすぎますと阻害がかかることがあります)
- PCR前のRTのかわりに、Pre Amplificationを行う。
→LightCycler Pre-Amprification Kitの使用
→極度にGCリッチなアンプリコンでしょうか?
- 5% ホルムアミド(formamide)を反応ミックスに添加
→反応条件は検討してみましたか?
- Mg2+濃度を上げる。またはアニーリング温度を下げる
Mg2+はfinal 0.5mM から 7mMの間で最適化し、PCR効率を上げます。上げすぎると非特異プライミングが増える可能性があるので注意します。
アニーリング温度も同様で、特にSYBR Green法の場合は非特異反応に注意します。
→デザインについて確認されましたか?
- まれではありますが、デザインの元となった遺伝子配列情報に変更が加えられていたり、実際の検体に遺伝子変異があった場合、プライマーが正しくワークしないことがあります。
- マスターミックス組成を変更しにくい場合や2step温度のシャトルPCRなど、反応条件を変更できない場合には、プライマーデザインを変更すると上手くいくようになることがあります。
【増幅産物(アンプリコン)が見られる場合】
十分な増幅がある場合、シグナルが取れない原因を解消することが必要です。
→装置の設定は正しいですか?
- 装置の蛍光検出チャンネル(励起/検出波長)が検出色素(SYBR/Probe)に対応していることを確認します。
- プログラムの際に、蛍光検出のタイミングが正しく設定されていることを確認します。
(SYBRやTaqManプローブでは増幅の最後、HybProbeはアニーリングの最後になります)
→サンプルや希釈によって増幅に差がありますか?
- サンプル精製度 A260/A280測定の目安が、DNA≧1.8、RNA≧2.0 です。また、できるだけ塩やフェノール残留等を避けてください
- サンプルの保存について、凍結融解を繰り返すとRNA、DNA、オリゴ等は分解・劣化し、ばらつきや上手くいかない原因となります。
- サンプルの段階希釈で濃度と増幅の相関を確認します。
倍率の高いもの(薄いもの)が立ち上がるような場合、サンプルが濃すぎる可能性があります。
過剰な核酸やRT反応液の持ち込み量が多い場合、pHやイオン強度の影響によりPCR反応が阻害されることがあります。
アプライ量の上限は、ゲノムDNAでは最大50ng程度、cDNA(RT産物)の場合、最大でPCR反応液の10%までといわれています。(サンプルの希釈には、PCRグレード水を使用します。TE等キレート剤の混入は避けてください。)
増幅効率の改善は上記【増幅産物(アンプリコン)が無い場合】もご参考ください。
遺伝子のアクセッション番号(RefSeq No,)を忘れてしまいました。
TranscriptID(遺伝子のアクセッション番号、RefSeq、Ensembl、またはEMBL等)を思い出すことができない場合は、遺伝子名を入力してみてください。 (例えば、「testosterone」等)
名前があいまいな場合、ソフトウェアはデータベースの''テキスト''検索を行い、該当しそうな候補のリストを表示します。この候補の中から正しいものを選択してください。
注意:テキスト検索になりますので、''similer to xxx''、''xxx related protein''など類似・関連の遺伝子も候補となることがあります。 誤ったものを選択されないよう注意してご確認ください。 また、デザインセンターのバージョンによって、以前のデザインと若干異なる場合などがございます。どちらも問題なくご利用いただけますが、古いデザインをお探しの際などにはご留意ください。
市販のクローニングシステムでゲノムDNA由来の5kbをクローニングしているのですが、うまく行きません。大きいPCR断片のクローニングに効率の良い方法はありませんか?
プラスミドにクローニングする場合、Expand™ Cloning Kitをお勧めします。Expand™ Long Template PCR Systemで増幅した長いPCR断片で効率良く働きます。5kb以下の断片を増幅する際には、Expand™ High Fidelity PLUS PCR Systemをお勧めします。
その他、細胞アプリケーション製品ついて不明点がございましたら、弊社テクニカルサービスまでお問い合わせください。
Tel: 03-6756-8245 E-mail: jpts@merckgroup.com
Expand™ and FastStart™ are trademarks of Roche.
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